- 車椅子のお店YUA
- 折りたたみ式車椅子で良かった!
折りたたみ式車椅子で良かった!
股関節を痛めた息子
-
初めて車椅子を押すことになったのは、子どもが小学校の入学式を迎える春のことでした。保育園を卒園して、お友達と遊んでいるときに、息子が股関節をいためてしまったのです。
まぁ、その時の私たち家族の慌て用はありませんでした。
子どもを保育園に預けていたことからもお分かりの通り、私たちは共働きでした。
私たちは、どうやって息子を通学させたら良いか途方に暮れました。
慣れないランドセルを背負って、これまた慣れない松葉杖で登下校させるのは小学校新入生の息子にはかわいそうです。
ランドセルを背負わせて、松葉杖を持った子を親がおんぶする?
まさか、そんなことはとうてい出来ません。親の方も、仕事の荷物があったからです。
そのとき、ふと、「そうだ。車椅子があれば送っていける。」と思いつきました。
お医者様の見立てでは、幸い長く使うことにはなりそうになかったので、借りるところを探すことにしました。
車椅子を借りてみることに
-
さて、いったいどこで借りることが出来るでしょうか。レンタル屋さんにあるかしら?そういえば、以前、近所に公共施設が出来、内部見学の時に車椅子が置いてあったな、と思い出しました。
そこは歩いて数分の所です。もし借りられたら、そこなら近くて助かります。ダメ元で聞いてみることにしました。
事情を話し、お願いしてみると、思いがけず、無料で貸し出してくださることになりました。
学校や家で保管がしやすい様に折りたたみ式を選んで頂き、操作の方法を教えて頂きました。
それまで、車椅子に乗ったこともなければ、押す経験もあまりありませんでしたので、折りたたみ式の車椅子の組み立て方がとてもワンタッチに出来ていることに驚きました。
そのままでは幅があり、置いておくスペースをとりますが、たたんでしまえばベビーカーぐらいになってしまいます。
息子も、車椅子が物珍しかったのでしょう。いやがらずに乗って入学式を迎えたのでした。
お友達と手をつないで入学式
-
さて、入学式が始まり、新入生の入場です。
かわいそうに、息子は式場に松葉杖をついて入って来るのだなぁ…と思っていたのですが、入場して来た息子を見て驚きました。
ぴこたんぴこたんとおかしな足取りで、お友達と手をつないで歩いて来たではありませんか。
後で聞いたところによると、先生から歩ける?と聞かれて、うん、と言ってしまったのだそうです。
ビデオなどにも残る入学式ですから先生もいろいろ考えてくださったのだと思いますが、車椅子を探し、大騒ぎした後の親は力が抜けてしまいました。
さて、入学式は無事に何とかなったものの、毎日の通学が最も大変でした。当時住んでいたマンションはエレベーターがとまる階ととまらない階があって、運悪く私たちの住まいはとまらない階だったのです。
最初は一回一回持ち上げて自宅前に置いていたのですが、見かけた住民の方が、「大変だから置いといてもいいわよ。しばらくのことなんだから。」と言ってくださったのです。
かくして折りたたんだ状態でエレベーターフロアのすみに置かせてもらえるように、他の住民の方々にもご了解頂いたのでした。
エレベーターの前に車椅子を置かせてもらい
-
今思えば、働いている母親に、あたたかい気持ちの方々が多いマンションだったのだなぁ、と思います。
私たち親子は1階分だけ登り降りを頑張って、エレベーターホールで組み立てた車椅子に息子を座らせ、もう一度荷物と松葉杖を取りに行き、エレベーターから降りると松葉杖とランドセルは息子の膝の上に、自分の仕事の荷物を担ぎながら、学校へ一目散…。
そんな日々があったのも、今は懐かしい思い出となりました。あのとき、車椅子が折りたたみ式でなかったら、出来なかったことだったかも知れません。
押す立場でしたが、この体験をしてから、バリアフリーについても考えるようになりました。
ちょっとした段差を楽に乗り越えるこつも身につきました。いっときのことでも大変だったのですから、車椅子は、長く使わざるを得ない方には本当に大切な物だと思います。
車椅子も、そして、街自体も誰にも優しく進化していってほしい物です。