- 車椅子のお店YUA
- 車椅子のおかげと感謝しておられた90代女性
車椅子のおかげと感謝しておられた90代女性
介護施設で出会った脳梗塞の女性
-
私は結婚する前に介護施設で介護職員として働いていました。
施設には認知症、脳梗塞などの後遺症で体が不自由になった人など、 家で生活するのが難しい方が入所されていて、介護保険の認定を受けておられる方でした。 私が施設で働いていて車椅子にとって最初に抱いていた感想としては、 歩けない人が活用するのには便利だな、そのおかげで散歩にでかけたり、 介助を受けることにより移動ができるという気持ちでした。
職員の側からの気持ちで車椅子の便利さを実感していました。 私が働き始めて2年目に、施設にFさんという方が入所して来られました。 Fさんは一人暮らしをしておられたのですが、自宅で脳梗塞を起こして入院され、 体の左側がマヒしてしまい力が入らず、歩行ができなくなった状態で車椅子を利用されるようになりました。
Fさんは、病院から家に帰れず、施設に入ってこられたのですが、 気持ちがとても強い女性で、また家に戻りたいという気持ちを強く持っておられました。
歩行訓練で車椅子中心の生活から徐々に歩行器に
-
車椅子を職員に押してもらうのではなく、自分で手で車輪を動かしておられ、 トイレに行かれる際など転倒の危険があることを繰り返し説明し、 職員をナースコールで呼んでもらうようにお願いしても自分でやってしまうような人でした。
当初は施設で転倒されたら職員側も困るし、何かあってからでは遅い、 困った人だなという認識でした。しかし車椅子を使ってなるべく 自分で日常生活をしたいという思いが強かったこともあり、どんどんと体の状態が回復していきました。
最初はかなり立ち上がる際などにふらふらされていたのですが、 トイレの利用などはある程度安心してお任せできるようになりました。 そしてその時点で、Fさんにリハビリを提案して、歩行訓練を受けられることになりました。
理学療法士がプランを立てて、最初は支えるような形で歩いていましたが、 車椅子中心の生活から徐々に歩行器に移行できるようになっていったのです。 働いていた施設では退所をして再び家での生活に戻るという ケースはそれほど多くなく、特に一人暮らしの人は大きな壁となっていました。
車椅子のおかげで
-
しかしFさんはその壁を乗り越えて、見事自宅に戻り一人での生活に戻られることになったのです。 Fさん本人はもちろんのこと、一緒にその過程を見てきた私もとても感動をしました。
その時にFさんが涙ながらに言われたことが、 「今の私があるのは、車椅子という便利な物があったから。これがなかったら、 私は病院のベッドで寝たきり生活になっていたと思います。
車椅子があったからそれを使って好きに動くことができた。 動くことができたから、気持ちが明るくなり、もっとリハビリを頑張ろうという気持ちになれた。 また元の生活に戻れるかもしれないという気持ちになり、 戻りたいから頑張ろうという気持ちを持てた」ということでした。
多くの方の役に立つ車椅子の存在
-
「こういった便利な物がある時代で本当に良かった」と言われる顔を見ていると、
車椅子がとても大きな存在に思えてきました。車椅子があるからこそ、
歩けなくなった人を桜のお花見にお連れすることもできる、
ベッド生活ではなくベッドから離れた生活を送ってもらうことができる、
そしてFさんのように生きがいや目標を作るのにも役に立っていると強く感じました。
高齢になって車椅子を使うとなると、最初は抵抗を示したり、がっかりする方が多いですが、 Fさんのように前向きにとらえて、便利に使っていくことができる、 そして車椅子でずっと生活するのではなく、そこから身体の機能を向上させて 再び歩くこともできると知ることができました。
車椅子の存在はこれからの高齢化社会で、ますます大きくなっていくと思います。 多くの方の役に立つ車椅子の存在を心強く感じます。