介護の味方の車椅子で広がる世界
ためらっていた車椅子
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現在90代後半の祖母ですが、数年前から車椅子を使い始めました。
それ以前は、杖を使用しながら自分の足で、
家族と一緒に散歩や買い物に行っていたのですが、
高齢にともない、だんだんと外出を億劫がるようになっていました。
孫である私自身、車椅子を使うようになったら祖母の足がなまってしまうのでは?
という不安もあり、使用をためらっていました。
それが、あるとき知人から「使ってみたら、
違う世界が広がる可能性もあるんじゃない?」とアドバイスをもらい、
思いきって使ってみることにしました。
はじめて車椅子が届いた日……、
健脚が自慢の祖母が、車椅子を受け入れてくれるかどうか、
少し不安もあったのですが、色柄がきれいだったこともあって、
気に入ってくれたようで安心しました。
車椅子のおかげで外出が楽に
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実際に車椅子に乗っておでかけするようになってみると、
祖母の足だけでは行くことのできなかった遠い場所へも足をのばせるようになり、
おでかけの範囲が一気に広がりました。
それまでは近くのコンビニエンスストアやスーパーに行くのが精一杯だったのが、
ちょっと遠くのカフェやケーキ屋などへも行けるようになり、
祖母にとっても私たち家族にとっても、毎日の楽しみが増える結果となりました。
以前は疲れるのをいやがっておでかけの機会自体も徐々に減りつつあったのですが、
「車椅子で行こう」と誘うと、喜んで外出してくれるようになりました。
車椅子に乗っているときの祖母のようすも、花を楽しんだり風を感じたりと、
とても気分がいいようで、使うようになって本当に良かったと思っています。
心配していた足についても、行きは車椅子に乗って、帰りは少しだけ歩く、
というふうに工夫することで、良いリハビリにもなっていると思います。
ご高齢の方、ご高齢のご家族がいらっしゃる方で、
車椅子はまだ早いな……と思われる方もたくさんいらっしゃると思いますが、
行動範囲が広がる! という意味で、選択肢としてお持ちになるのも良いのではと思います。
外出の機会の増えた祖母と
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車椅子を選ぶ際のおすすめポイントですが、
ある程度の重量のあるものの方が安定感があって使いやすいと思います。
ご本人の乗り心地ももちろんですが、押して歩く場合の使い心地、
たとえばカーブのときにいかに安定するか、押したときの滑りが軽くスムーズに感じられるか、
といったことなども、とても重要だと思いました。
ご高齢の方で、祖母のようにまだまだ歩ける! という場合でも、
面倒だから、疲れるから、という理由でだんだんと外出を避けるようになり、
家にこもりがちになられる方もいらっしゃるかと思います。
車椅子を使うことで、おでかけが楽になり、外出の機会が増えることがあれば、
ご本人にとってもご家族にとっても、とても素敵なことではないでしょうか。
外に出て、誰かと会い、言葉を交わす。
好きなものを食べたり、自分の目で選んで買い物をしたりする。
車椅子で家から出ること
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ちょっとしたことですが、そんな普通のことが、ご高齢の方には、
なかなか難しい……という場合もあると思います。
また、在宅で介護されているご家族の方にとっても、
外に出ることはとても良い気分転換になると思います。
祖母の場合、外に出ることで、不思議とふだんよりシャンとして、
お店の方に声をかけたりなど社交的な一面を見せることもあり、
そんなとき、外に出ることは社会につながることなのかもしれない、
と感じたりもします。車椅子をおすすめしてくれた知人の
「世界が広がる」という言葉は、本当にその通りだったなあと実感しています。
我が家にとって、車椅子の登場は、まさに"介護の味方"となりました。
家から一歩出ることで、認知症を遠ざけ、寝たきりになるのを防ぎ、
少しでも健康寿命をのばすことにつながってくれたら……と願いつつ、
晴れた日にはまた祖母をおでかけに誘ってみよう、と思う毎日です。