カワムラサイクルのカッコいい車椅子
車椅子を恥ずかしがる祖母
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私の祖母は85歳の時に階段から落ち、股関節を骨折するという事故が起きました。
手術をしたものの、年齢的な事もあり再び自由に歩けるようには回復しませんでした。
これからの生活をどうするかは、病院やケアマネージャーの方との相談で
車椅子での生活が望ましいという事で我が家にも車椅子がやってきました。
祖母は昔の人ですから、何でも自分の事は自分でやらないと気が済まない人です。
良く動き、よく働き、常に前向きで孫の私から見ても尊敬できる人でした。
新しいものにも興味を持ち、携帯電話やDVDの録画なども挑戦するような人だったので、
車椅子への生活も大丈夫だろうと家族で話しておりました。
しかし、驚いたことに祖母は車椅子は乗るけど家の中だけで、外には行かないというのです。
理由は恥ずかしいからという事でした。こればかりは
本人の気持ち次第だからどうする事も出来ないと、諦めてはいました。
カワムラサイクルのコンパクトな車椅子
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車椅子が我が家にやってきました。我が家は昔ながらの家でバリヤフリーでもないので、
カワムラサイクルのコンパクトフレームの車椅子を選びました。
祖母に気に入ってもらえるようにと柄は格子柄の可愛らしい柄を
最後の作戦として選んでみました。
しかし、一番喜んだのが私の4歳の息子でした。
「この車かっこいいね!!僕も車椅子ほしいな」とはしゃぎました。
これを聞いて祖母も思い切って腰掛ける決心がついたのだと思います。
腰掛けてみた祖母からは「あんばいいいね」との感想が。
家族みんながこの声を聞いて安心しました。
手を痛めていた祖母ですが、車椅子が思っていたよりも
軽く操作しやすかったので自分で動かすことも出来ました。
ひ孫からのおばあちゃん上手だね~の声に、得意げに動いて見せる
祖母の顔の表情に私も以前の力強い祖母を見ることができ、本当に嬉しく思いました。
車椅子での外出はそれから半年後になりました。
桜の咲くころひ孫ととお花見に
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デイサービスでは車椅子の移動でしたが、大好きなお祭りや、
買い物そのほかの外出はやはり人の目が気になっていたのでしょう。
「いいから」の一言だけで外に出ようとはしませんでした。
しかし、季節も良くなり桜の咲くころ、私の息子にお願いしてお花見のお誘いをしてみました。
二つ返事で祖母は外に出てみる気になったようです。
家を出てすぐに祖母のお友達に出くわしてしまいましたが、「ひ孫さんとのお出かけいいこと」
の一言で心の壁がなくなったようで楽しく話をしておりました。
それがきっかけで祖母は車椅子での外出を嫌がらなくなりました。
外には楽しい交流があることを思い出し、思った以上に車椅子での生活が恥ずかしくないことを学んだのでしょう。
正直、けがから自宅に引きこもりボケてしまったらどうしようと家族みんなで
不安にもなりましたが、車椅子のおかげで以前と同じような生活を送ることができています。
前向きに
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4歳の息子にとっても車椅子のおばあちゃんの存在は大きく、
車椅子を押してあげたり、戸を開けてあげたりと、優しさが家じゅうに広がりました。
そして祖母が車椅子に乗るようになってから、足の悪いお姉さんも車椅子に乗ってみることになり、
車椅子を並べて5年ぶりの再会を果たすことになりました。
私から見ると何だか可愛いおばあさんたちで本当に良かったと思います。
そして、そんなに抵抗せず早くに車椅子に乗ればよかったのにという
思いもありましたが、それは私が若いからの価値観であって、
お年寄りの多くはまだまだ車椅子に抵抗があるという事が分かりました。
抵抗があるけどそこの壁を超えたらそれ以上の充実した生活があるということを分かってほしい。
祖母はその壁を乗り越えて本当に良かったっと思います。
前向きに生きる私の憧れのおばあさん。いつまでも元気にいてほしいです。