車椅子のお店YUA|テーマパークと車椅子の祖母。

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テーマパークと車椅子の祖母。

足が悪くなった祖母とテーマパークへ

遊園地のイメージ
私自身は車椅子を経験したことはないのですが、 車椅子には忘れられない思い出があります。
私が中学一年生の時のことです。 私の祖母は外出するのが大好きで昔は(高齢になり寝込むことが多くなるまでは) 日本各地を一年中旅行しているような人でした。 ですが、70を越え足の手術をした杖なしには 歩けなくなってからはそれも思うようにならなくなりました。
そんなある日、新しいテーマパークがオープンし 新しいもの好きな祖母はぜひとも行きたい、と言いました。 しかし、テーマパークの広い敷地内を 杖をついて歩くのは危険が伴いとても不可能に思えました。
そこで思いついたのが車椅子を使って、 私が押してパークを回ろうというものでした。

この車椅子が今はばあちゃんの足なんだ。

坂のイメージ
車椅子というのは実に便利で、基本的には押して歩く 介助人がいれば本人は何もしなくても前に進むものです。 ちょっとスピードをあげたいなと思えば、 乗っている本人が少しタイヤを回すとそれだけ速く前に進んだりもします。
先述の通り、私の祖母は新しいもの、お出かけ好きな人でした。 テーマパークに行った時もそれは例に漏れずで、 私が押して歩いているのに何か真新しいものを見つけると 「ちょっとあっち行ってよ!」と言って 勝手にタイヤをグルグルと回して進んでしまい、 押している私が思わず連られて引っ張られんばかりの勢いでした(笑)。
とはいえ、いくら車椅子が本人は座っていればよくて 介助人の力によるところが大きいといっても、やはり自分の足をもってして 自由に歩けないことに対しては相当の苦痛を感じているようでした。
私もそんな祖母の表情を見るにつけ、 「この車椅子が今はばあちゃんの足なんだよな・・・。 もう一度自分の足で歩かせてあげたいな・・・。」なんて何度も思ったものです。

車椅子の坂での失態

遊園地と車椅子のイメージ
ここだけの話・・・。今思い返すと思わず笑ってしまう、 いや、やっぱり笑えないかな、なんてエピソードがあります。
そのテーマパークは坂が多く、車椅子のお客さん(特に介助人)には ちょっとハードだな、って道が多くあるところでした。 子供だった私は急な坂になっているところであるにも関わらず、 「ああ、ばあちゃんも自力で歩いて楽しみたいだろうな・・・。」 なんてボーっと思いにふけって思わず介助の手を緩めてしまうという失態を犯しました。
押す人が手を放してしまったら、車椅子はもちろん自動で坂を下っていきます。 その時ももちろんそうなってしまい、 祖母を乗せた車椅子はゆっくりゆっくりと坂を下りていきました。 祖母は乗っているだけなので、何が起きているかよくわからず 怪訝な顔のままどんどん坂を下っていきます。
私が気づいた時には結構下っているところで、「やばい!」と思った私は全速力で駆けつけました。 しかし、このころの私は超肥満児で(実は祖母譲り!)夏の暑い日なかなか追いつきません。 そうしたら、たまたまそこにいたおサルさんの人気キャラクター(もちろん着ぐるみ)が 駆けつけて車椅子をストップしてくれたのです!
そして私に対しても「危なかったね~。でもよかったね!」と言って ねぎらわんばかりにポンポンと肩をたたいてくれました。

今となっては良い思い出

着ぐるみのキャラクター
祖母は、最後まで何が起きてたかわからなかったみたいですが、ちょっと驚いたみたいです。 母にはボロボロに怒られましたが、私としては なんだかほっこりと微笑んでしまう思い出の一つになっています。 ばあちゃん、びっくりさせてごめん! おサルさん、どうもありがとう! 小さなころから大好きだったキャラクターのあなたに ばあちゃんの車椅子を止めてもらったことは今でも忘れられません。
その後、祖母をホテルのベッドで休ませているとき、こっそりと車椅子を借りました。 中学生の私が勝手に動かしたので無理もないですが、 自分ひとりではなかなかコントロールが難しいものですね。 介助人がいてくれたらもちろんそれにこしたことはないのですが、 世の中には車椅子の状態になってしまっても他人の世話には努めてならず、 なるべく自力で動いていきたい人っていっぱいいますよね。
そんな方にもやさしい、自力でも使いやすい、 そんな車椅子が世の中に普及してひとりでも多くの人が 自由自在に行動できるようになればいいな、なんて思います。
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